治療目標は、関節リウマチの診断を的確かつすみやかに行い、皆様の納得のいく治療を行い関節リウマチによる症状を抑え安定させ(寛解)、関節構造を維持し支障のない社会生活を送れるようにすることです。
これには、早期診断、早期の適切な治療、病気の勢いを厳密に抑えること、そして治療により生じる内科的な副作用への対応が欠かせません。
寛解(かんかい)とは、関節リウマチの症状が無くなった状態のことです。
近年の治療法・治療薬の進歩により、関節リウマチの治療目標は「痛みの緩和」から、「寛解の状態へ導く」というように変化してきました。
関節リウマチにおける寛解は3つあり、以下のとおりです。
①関節の痛みや腫れがなくなり、検査値異常もない(臨床的寛解)
②関節破壊の進行がない(構造的寛解)
③身体機能の障害が進行しない(機能的寛解)
このような寛解の状態に導くことが達成できれば、抗リウマチ薬を服用しながらではありますが、支障のない社会生活を送ることができるようになります。
関節リウマチの治療法としては、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどが挙げられますが、基本は薬物療法となります。近年、治療薬は急速に発展しており、早期発見・早期治療をすれば症状が改善する方は増え、実際に関節手術をされる方は減少しています。
関節リウマチの治療薬を疾患修飾性抗リウマチ薬と言いますが、まず合成と生物学的製剤と2つに分類します。 そして合成の方を今までの古典的、そして新規に開発された分子標的という2つに分類し、生物学的製剤を今までの先発品boDMARDsと後発品的なバイオシミラーというbsDMARDsの2つに分類します。
抗リウマチ薬として、使用上の禁忌がなければ、第一選択薬は適切な量のメトトレキサート。 病気の勢いがコントロールできなければ、関節破壊の進行は防げないため、個々の病態に合わせてレミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ケブザラ®︎、ヒュミラ®、オレンシア®、シンポニー®、シムジア®の計8剤の生物学的製剤の中から適切なものを選択し開始を考慮します。